自治会活動にみる企業のあり方を考える・・

 この4月から自治会役員として活動することになった。若い時から何らかの形で自治会活動にはかかわってきたが、490世帯をまとめていかなければならない重責を担う立場となった。まだ3ヵ月余りの活動であるが、自治会活動をとおして大袈裟かもしれないが、日本社会や企業組織の縮図を見るような感じがしてならない。

 具体的にはどういうことなのか説明すると、まず少子高齢化の進展である。祭りなど諸々の行事を行うにも若い人の圧倒的なパワーが不足している。子ども会にしても然りだ。屋台を引く子どもの数が少なく大人が引く姿の方が目立つ。防災センターなど既存建物の老朽化も急速に進んでいる。最も深刻な問題は自治会役員を引き受けてくれないケースが多いことで、これは企業の後継者問題に近いだろう。資金面については、商店の廃業、企業の撤退、高齢者の増加により自治会費の減少につながっている。最近の特徴としては、IT化・デジタル化の進展である。会計にしてもパソコンで処理を行っているし、非常時の安否確認にスマートフォンから報告できるアプリを活用し利便性を図っている。

 しかし、パソコンによる会計処理や安否確認アプリが必ずしも機能しているとは言い難い。会計ソフトはマニアック過ぎるとだれでも使いこなすことは困難であり、安否確認アプリについても高齢者が利活用するには操作性の簡便さが不可欠である。これらもDX化を急いでいるが、依然として掛け声倒れに近い日本の現状を見るようである。

 ここまでネガティブなことばかりを述べてきたが、明るい材料もある。従前からの懸案事項であった空き家、空き地に住民が移住するなど、新たな動きが生じ始めていることである。そうした人からは「住んでいるところを良くしていきたい」との強い想いを肌で感じる。自治会としては、要望書(企業でいえば提案制度)などを提出してもらい前向きに導入を検討して改善を図っていきたい。

 自治会も企業も未来永劫続けていかなければならないのは同じで(going concern)、そのためには、それぞれが有している現状のチームワーク、得意分野、ネットワーク、コミュニケーションを大いに発揮し地域の絆を高めること、組織の活性化を図ることが必要不可欠であり、その先に地域への貢献、企業の発展が見えてくるのだと思う。