5Sの徹底による組織の変革とは何か

 皆さんは「かたづけ士」なるものをご存知だろうか。実は筆者も最近になって専門紙を読み知ったのであるが、「かたづけ士」という仕事がある。経営者や企業向けに“かたづけに関する講演や研修、コンサルティング”を主に行うという。2008年のリーマン・ショック以降、中小企業からの依頼が急増しているらしい。日本初の「かたづけ士」で起業した社長によると、「不況でものが売れない時代に足元を見直す機運が高まり、コスト削減や掃除、片付けなど会社内部の改革に意識が向くようになった」と推測している。そして、驚くべきことに指導を受けた企業の多くが、コスト削減や営業成績の向上につながっているという。
 そう言われてみれば、コンサルティング業界においても昔からトイレの清掃が行き届いている会社ほど利益を出していることが定説となっているし、何年か前には女性歌手が「トイレの神様」をヒットさせ、NHK紅白歌合戦でも披露されたことがきっかけで、筆者はこの定説と歌詞や背景との因果関係などについて真面目に考えたこともあった。
 そこで、今回は職場管理の基本である5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の効用について改めて考察してみたい。

 

◆ 5Sがうまくいかないとどのようなことが起きるのか

1. 職場に無駄が発生

2. コストが下がらない

3. 品質が低下する

4. 納期が守れない

5. 若い人が辞めていく

6. 顧客の期待に応えられない

◆ 5Sを徹底するとどのような効果があるのか

1. 5Sでムダを追放する

整理・整頓の維持によって多くのムダな時間を追放できる(段取り時間の短縮)

2. 5Sでコストダウンを実現する

手待ち時間やチョコ停時間がなくなったことによる効果(職場に活気)

3. 5Sで品質を向上する

決められたことをしっかり守って実行するという習慣により、ポカミス、ウッカリミスが原因の品質不良が減少する

4. 5Sで納期を厳守する

異常が発生した際の処置が迅速に行われるとともに、機械の日常点検の徹底実施により設備の故障が減少する