「おまけ的サービス」の効用って何!?

 皆さんはこんな実体験はないだろうか。朝食の際に食べる味噌汁の具のアサリの中とか、しらす干しの中にタコやイカの子どもが入っており、なんか得をした気分がしてその日一日何かいいことが起きるような期待感を持ったとか・・

 このような心理を応用したのが、物質的顧客満足サービスの「おまけ的サービス」である。筆者の世代で言うと、グリコのキャラメルの玩具や、丸美屋のふりかけのシールなどである。商品はもちろんおまけの方も楽しみであり、どのようなおまけが入っているのか開けてみないと分からないので、次はどのようなおまけが入っているのかワクワクドキドキしながら買ったものである。

 現代版でみると、お客さまに好感を持ってもらう一番手っ取り早い方法として、よくホテルが行っている枕元にチョコレート(寝つきがよくなる)を置くことや、ウェルカムドリンクやフルーツのサービスがおまけ的サービスの事例として挙げられる。

 おまけ的サービスは、何も物質的なおまけばかりではない。例えば、物プラス思いやりによるサービスも有効だ。これはちょっとした配慮でその物自体の価値を高めるメリットが生じる。具体的には、病院食の夕食時刻の変更(5時だとお腹がすいていないので6時に変更する)、冷めても美味しいように保温トレーを設置することが物プラス思いやりによるサービスの事例として挙げられる。

 また、筆者の私的なことでたいへん恐縮であるが、人生60年以上生きてきたなかで、最近初めて腰痛を患ってしまった。

 早急に痛みから解放されたい一心で整形外科、鍼灸院、接骨院をはしごして回った。患者それぞれに治療方法が合う合わないがあると思うのだが、筆者の場合はどうやら接骨院が合っており、今のところ症状も落ち着いている。このプロセスで最初の診療機関の段階ではなかなか治療効果が出ず、多少あきらめかけていたところ、意外にも最後の診療機関で治ると思っていない症状に結果が出たということが大きかった。

 つまり、事前期待が小さい(治ると思っていない症状)ほど、治療効果が出ると顧客満足度は大きいということだ。患者は回復した喜びを周囲の人に伝えたいという心理が働き、やがてそれが口コミの連鎖を生む。 

 上述のおまけ的サービスについても、「やっています」と強くPRするよりは、最初は自然なスタンスで始めるとより顧客満足度が大きくなり効果も期待できると思う。