改めて気づかされる「健康管理」の重要性

 最近になって、筆者の周辺でも体調不良や入院を余儀なくされる知人・友人が増えてきた。

 健康は人生最大の財産だが、重い持病や気になる兆候がないと「健康は当然のこと」と見過ごしてしまいやすいものである。特に会社の大黒柱でもある経営者は、毎年の健康診断を必ず受診することが肝要である。

 健康管理が重要な理由はいくつかある。まず考えられるのが、年齢が上がるほど、「大病」と呼ばれる大きな病気のリスクが上昇することだ。若いころから「健康だけは自信がある」という人ほど要注意であると言われている。

 こうした大病はどんなに健康管理を徹底しても完全に防げるものではないが、日々の心がけでコントロールできることがある。それが「労働時間」である。働き過ぎによって体調を崩したと思われる経営者を筆者はこれまで何人も目にしてきた。よくあるケースが【長時間労働➡不規則な生活➡運動不足➡食生活の悪化➡肥満➡大病】である。

 労働時間は健康のバロメーターの一つにもなるので、きちんと休日を確保するなど自己管理する習慣を持ちたいものである。

 また、経営者特有の「稼がなくては!」という強迫観念から、必要以上に仕事を受けすぎて結果的に体を壊すことになれば、経営者としての資質を下げることにつながりかねない。

 そこで、膨大な仕事の量を抱えそうな場合には、事前にスケジュールを調整したり、従業員に権限を委譲したりするなど、自分の時間を確保することも検討する必要がある。

 一方、従業員の健康管理も極めて重要である。経済産業省でも「健康経営(従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することで、企業理念に基づき従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながる)」の取組みを推奨している。

 経営者のなかには、「きちんと医療保険に入っているから大丈夫」という笑うに笑えない話も耳にするが、経営者がまずやるべきことは、医療保険の積み増しではなく、自分自身の管理であるとともに、会社の運命共同体でもある従業員の健康管理を徹底して行うことが必要不可欠である。

 当たり前のことだが、健康あっての仕事である。