職場全体で部下指導する効果

 新年明けましておめでとうございます。本年も何とぞよろしくお願い申しあげます。

 さて、3~4月にかけ新人が入ってくる職場も多いと思われるが、新人教育で頭を痛める担当者も少なからずいるのではないだろうか。

 例えば、新人がある課に配属されたとしよう。課長であるマネージャーが上司で、OJTリーダーに3年目の社員が指名されたとする。そうなるとこの新人の育成係は3年目社員に限定されてしまい、他のメンバーにとっては、全くの他人事となってしまうことが少なくない。

 今日のように組織がフラット化されてくると、マネージャー専任のポジションが減り、プレイングマネージャーが増加することになる。マネージャーとしては、まず自分の業績を上げないことには、メンバーへの示しがつかないことから、どうしてもプレーヤーとしての業務を優先させ、ついついマネージャーとしての職務を「ついで仕事」にしてしまう。

 放任主義で成功する場合もあるが、それはモチベーションやスキルが高い集団か、求心力のあるサブリーダーがいる場合だけである。放任主義のマネージャーを増やしてしまうと、それこそそれが組織風土となってしまい、不機嫌な職場を生み出す結果となる。

 また、自分が放っておかれると、自分が先輩格となりOJTリーダーになった時にどう新人に接していいのか分からず、また放ってしまうという悪循環に陥ってしまうのだ。

 そこで、そんな悪癖を防止し、新人を最速で離陸させ、同時に職場全体で刺激し合える空気を生み出す方法として提案したいのが職場全体で行う部下指導である。 

 つまり、もともとお節介な人でもそうでない人でも人材育成に参加するような、属人的でない仕組みをつくる必要がある。言い換えれば、嫌がおうでも新人に関心を持たざるを得ない仕組みを設けることが必要である。具体的には全課員に個別の新人育成活動を義務づけることである。

 いずれにしても新人にとっては、いろいろな先輩と接触する機会が増えるわけで、その中で気の合う人を見つける確率も高くなる。

 職場内で相談できる先輩に出会った社員の離職率は著しく低下するというデータがあることからも相当なメリットがあるし、先輩にとっても教えることで自分が成長できるという副産物も見逃せない。

 年の初めに際し、新人育成のヒントになれば幸いである。