経営者の孤独・壁打ちのすすめ

 ビジネスでもプライベートでも誰かに話しを聴いてもらうことで、それが安心や行動に結びつくことがある。このように対話を通して自分の考えを深めることを一般的に「壁打ち」という。

 本来、壁打ちの意味は、テニスなどで一人壁に向かってボールを打ち続ける意味で使われるのだが、ビジネスにおいては、話を誰かに聞いてもらって考えを整理することの意味として捉えられている。

 筆者も何かうまくいかないことがあると、壁打ちしようという感覚で普段からお世話になっている仲間や先輩、各種専門家に声をかけるようにしている。

 壁打ちの特徴は、話しながら自分の考えが徐々にまとまっていき、具体的なアドバイスが得られることである。例えば、頭のなかにあるうちはモヤモヤしていたことも、人に話すことによって、まず言語化されるとともに、自分ではすごくいいと思っていたアイデアの反応がイマイチよくなかったり、逆にあまり自信がないことが思わぬ評価だったりと、人と会話のキャッチボールを繰り返し行い、アウトプットすることではじめてわかることも少なくない。

 

【壁打ちのメリット】

1.モヤモヤしていることがスッキリと晴れ、視界良好になる。

2.頭のなかで考えいることが言語化、わかる化できる。

3.アイデアを聴いてもらうことで率直な感想と具体的なアドバイスが得られる。

4.目標達成のために、何をいつまでにどのようにすべきかが明確になる。

  

 できれば、壁打ちは心理的安全性が保たれた本音のフランクな対話ができる関係の相手が望ましいのであるが、極めて重要なことは、自分だけがメリットを享受するのではなく、相手にとっても同様な価値を提供できるようにすることである。お互いによき壁打ちの相手となれることで、関係性も必然的によくなっていくものである。

 とかく経営者は孤独と言われている。何事に対しても最終責任者として適切且つスピーディーな判断が要求される。一人黙考するのも決して悪くはないが、たまには何人かと定期的に壁打ちする時間も経営者には必要不可欠ではないだろうか。