SDGsと中小企業との関係

 SDGs(持続可能な開発目標)という言葉があちこちでよく聞かれるようになった。おそらく多くの方は、「SDGsって何?」とよくわからないながらも、環境や人権に関係することなのだろうと漠然と捉えているのではないだろうか。

 SDGsは17の目標と、169のターゲット(目標をより具体的にかみ砕いたもの)、232の指標(成果を測るための項目)で構成されている。

 全体をごく簡単に要約すれば、この先、世界の社会、経済、環境がずっと続いていけるように、世界中が取組むべき目標が示されている。

 新型コロナウイルス禍によって、働き方が大きく変化し、新たな生活様式を構築することを求められているこの時代だからこそ、かつてないほどSDGsへの注目が高まっている。

 翻って、企業にとってもSDGsは宝の山と言われている。企業がSDGsに取り組むのは、社会的責任やイメージアップのためという側面もあるが、実はもっと企業にとって本質的な理由がある。それは、SDGsは大きなビジネスチャンスとなり得ることである。

 つまり、ビジネスチャンスは課題があるところに生じる。社会に何か解決したい課題があればそれは企業にとってチャンスだ。SDGsは世界共通の目標であり、この目標の達成につながるような課題解決ができれば市場でアドバンテージを持つことになる。

 宝の山であるSDGsは、大企業はもちろん中小企業やスタートアップ企業にとっても大きなチャンスになる可能性を秘めている。

 むしろスタートアップ企業や中小企業こそSDGsに取り組む価値があると思われる。SDGsの目標を達成するためには、従来にはない新技術や発想が求められる。新規ビジネスなら技術力やアイデアがあれば大企業と同じスタートラインに立てること、また、大手企業を中心にバリューチェーン全体での取組みが始まっており、中小企業も同様の意識を持ちSDGsに取り組まなければビジネスチャンスを失いかねない。

 中小企業が生き残りを目指すためには、SDGsは最も押さえておかなければならないキーワードかもしれない。