「商品選択の法則」とは何か!?

 お店に買い物に行って「どれにしようか、あれもいい、これもいい」と迷ってしまい、なかなか購入したい商品が決まらず、そのまま買い物をせずに帰ってきてしまった。皆さんもこのような経験をしたことがあるのではないだろうか。筆者は最近になってこの傾向が顕著になってきた。

 お店の経営者は、売上げを増やそうと思ったときに、一つの方法として品揃えを増やすということを考えるのが一般的だ。

 ただ、昨今の行動経済学の研究では「品揃えが少ない方が売上げが伸びる」ということが判明してきている。普通に考えれば、商品の種類がたくさんあった方が購買意欲を掻き立てられるように思われ、経営学的にもそれが主流をなしていた。

 ところが、コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が行った実験により、上述とは逆の結果が出された。その実験とは、高級食品店の試食コーナーで、24種類のジャムを並べたときと、6種類のジャムを並べたときでは、どちらの方が売上げが多いかを調べるもので、結果は予想に反して、品揃えの少ない方が多い方よりも10倍以上売上げが多かったのである。この実験により、商品の種類が多いからといって必ずしも売上げにつながることはないということがわかり、売上げを伸ばすためには、やたらと商品を置くよりも、商品の絞り込みが重要になることもあるということを証明した。これが商品選択の法則である。

 また、シーナ・アイエンガー教授は、「人というのは、実は多くの選択肢の中から一番いいものを選ぶということがあまり得意ではない」とも述べている。

 つまり、人は多くの選択肢を与えられると、余計に不安感が募り物事を判断することに慎重になるというのである。

 ただし、この法則は、趣味やファッションなど顧客がより自分の嗜好に合ったものを欲する商品については、通用しないと思われるからその点注意が必要である。

 最近では特に原材料の高騰など市場の大きな変化への対応とコストダウンを強く求められるなか、商品選択の法則を活用することにより、主要商品(売れ筋)を明確にして絞り込み、その分一品の仕入量を大きくすることで仕入が有利になること(仕入ロットが大きくなればコストダウンが実現)や、商品仕入・販売のコントロールもしやすくなるメリットを享受できる。一考の余地があると思われるのだが・・・