アフターコロナで見えてきたこと

 コロナが第5類に移行して5ヶ月あまり経過したが、最近自宅の近くにお洒落なカフェがオープンしたというので早速行ってみた。オーナーは「コロナ禍で人の行き来がなくなり、“飲食の力”で元気のない街や住民をなんとか励ましたかった」と創業の動機を教えてくれた。

 それを聞いてとても元気をもらったような気がして、デリバリーやテイクアウトも悪くはないが、改めてリアル店舗はいいなと思わせてくれた。

 コロナ禍で急速に高まったのがこのリアルとは真逆のオンラインサービスなのだが、大きな課題も浮き彫りになってしまった。

 一つ目の課題は、コミュニケーションで、画面越しでは相手の顔の表情やしぐさから得られる印象や雰囲気が分かりにくいため、販売に最も必要な信頼関係の構築がうまくいかないことである。

 2つ目の課題は、五感が使えないことだ。オンライン上では「見ること」と「聞くこと」すなわち視覚と聴覚しか使えないという点である。

 本来、人間の持っている能力の五感のうち、2つしか能力を発揮できないとされているため、味わう、触れる、嗅ぐといった味覚、触覚、嗅覚に頼ることができない分、どうしてもリアルには勝てない。

 筆者も驚いたのだが、今までは純粋なオンラインショップのみだったAmazon、Googleなどもリアル店舗に進出している。Amazonのリアル店舗進出という現実は、オンラインショップの限界を表しているようにも思える。

 オンラインショッピングが普及したとはいえ、「実際に商品を手に取って品定めしたい」という顧客ニーズは根強くある。オンライン事業者であるAmazonだからこそ、リアル店舗にしかない価値をよく分かっているのだと思う。

 要するにオンラインで得られるのは情報が中心で、リアル店舗では様々な実体験が得られること、店主・店員からのアドバイスや商品・サービスの専門的な説明が受けられ安心して購入できること、この他に多分皆さんも経験していると思われるが、オンラインショップでは比較的に少ないとされる「衝動買い」というのがリアル店舗の特徴である。

 敢えて理想を言わせてもらうなら、オンラインショップとリアル店舗を融合し相乗効果を上げることなのだが、このようにリアル店舗の武器(特徴)も今一度見直し生かすことで、地域の顔・お店としてこの先もずっと生き残ってほしいと切に思う。