インタビューで問題を解決する!

 企業の問題解決における情報収集では数値に現れない情報、つまり人の意見も大切である。

 特に自社のバリューチェーン(価値連鎖:企業の様々な活動が最終的な付加価値にどのように貢献しているのか、その量的・質的な関係を示すツール)やインフラなど、定量的な評価が難しい切り口については、まず関係者の「生の声」を集めることが問題のあたりづけを行ううえで有効な手段となる。

 意見を集める最も重要な対象は顧客であり、他に問題意識を持った現場の担当者などが挙げられる。

 そこで、キーポイントとなるのがインタビュアーの存在だ。問題解決のためのインタビューは、ヒアリングとは異なる。聞きたいことを一方的に聞くヒアリングでは新しい発見を得づらいのに対して、インタビューはお互いの視点、考えについてやり取りするため、ときには相手自身が思いもよらない気づきを掘り起こすこともできるようになる。

 インタビューにおいてやりがちな失敗は、自分の聞きたいことだけを聞き出そうとすることである。

 これでは、相手が持っている大事な考えをとりこぼすことにつながる。自己中心的なヒアリングを避けるためには、インタビューに臨む前に誰に何を聞くのか、インタビューする目的を明確にすることが重要である。

 また、相手の考えを深める問いを提起する質問力と、相手の回答や反応を踏まえつつ、話の流れを目的達成に向けてリードする対話力が不可欠である。

 これらのことは、普段の会話を行うのとは異なり、意識的に修練する必要がある能力である。インタビューは答えありきで組み立てるものではなく、自分も相手も答えを持っていない状態から、質問と対話によって、問題を理解するための知恵を得るものである。

 インタビューのプロでもある阿川佐和子さんも「話を面白そうに聞くことで自分でも思っていないようなその人の意外な特徴を知れるのが“聞く醍醐味”だ」と語っている。 

 「答えは聞き出すのではなく掘り起こす」

相手の記憶の奥底にある考えを掘り起こし、お互いが問いに対する答えを持っていない状態から、自分も相手も予想外の答えを得られるのがインタビューの醍醐味ではないだろうか。