事業目的からドメインを広げる!

 企業にとって重要な付加価値の強化は競争力の強化であり、シェア拡大の施策と言い換えられる。

 しかし、市場のそのものが縮小傾向にあると、競争力だけで生き残るのは限界がある。このような場合には、事業ドメインを増やすことを検討することになる。事業ドメインとは、事業を展開する領域のことで誰に何をどのように提供するかによって決まる。

 事業ドメインを広げるとは、平たく言えば既存事業の製品やサービスを提供するだけでなく、関連商品の販売や新たなサービスを提供することを意味している。

 だが、成長市場だからといって自社の強みを活かせない事業ドメインに手を出すことはNGだ。かえって逆効果になる危険性もはらんでいる。

例えば、飲料水メーカーであれば、浄水器事業を展開するなど、既存顧客に関する知識やノウハウを活かせる領域へと広げていくことがよいと思われる。

 事業ドメインの拡大先を考える際には、まず既存事業が果たすべき役割を、より広い視野から捉えて候補を検討することが不可欠である。

 具体的には、自動車メーカーであれば事業目的を「車のある生活を通し豊かで幸せな生活を提供する」、飲料メーカーであれば事業目的を「心と体の渇きを癒し、潤いの時間を提供する」などである。事業の本質に立ち返ると、強みに立脚した事業展開が可能になる。

 事業ドメインを広げて成功した企業の例がタニタである。体重計などを製造する大手メーカーのタニタは、「健康をはかる」から「健康をつくる」という新たなコンセプトを打ち出し、フィットネス事業や、ヘルシーな食事を提供するタニタ食堂などを展開している。フィットネス事業では、タニタ独自の健康サポートを、タニタ食堂では、プロフェッショナル仕様体組成計を備えたカウンセリングルームを提供するなど、健康づくりに深い知見を持つ企業の強みが大いに活かされている。このように「健康をはかる」ことを事業目的とした知見の蓄積があったからこそタニタはドメインの拡大に成功したと言えよう。

 さて、皆さんの企業の事業目的は何ですか?

そして、そこからどのように事業ドメインを広げることができますか?