会社が長く生き残るために必要なものは何か?技術力、ブランド力、価格競争力、どれも重要だが、それらの前提にあるのが「お客さまファースト」の姿勢である。今の時代これを抜きにした企業活動は、確実に顧客からは選ばれなくなる。
では、なぜ今お客さまファーストなのか?時代的な背景として、デジタル化、SNSの時代により、顧客の声が企業のブランド価値を左右すること、顧客満足度が高い企業はリピーターや紹介が多く、結果的に安定成長しやすいことが挙げられる。
ただ、誤解のないように敢えて言うと、「何でもお客さまの言うとおりする」ということではない。真の意味は「お客さまの課題や期待に真摯に向き合い、最適な価値を提供すること」であり、目先の利益より長期的な信頼を重視する姿勢であると思う。
「お客さまファースト」を実践している企業の事例としては、世界的企業のAmazonの「顧客中心主義」やスターバックスの「感情に寄り添う接客」、日本企業ならトヨタの「カイゼン」精神もお客さま志向の表れだろう。
また、「お客さまファースト」を実践している企業は、経営や現場へのインパクトが大きい。具体的には、(1)組織全体が顧客を意識すると、無駄な業務が減り生産性が上がること、(2)クレームを改善の種と捉えられる文化が育つこと、(3)顧客視点が根づくことで、社員の仕事の意味、遣り甲斐が増すこと、などである。
では、一番大切な「お客さまファースト」を企業文化に根づかせるにはどうすればいいのか?そのためには、(1)言うだけではなくトップの明確なビジョンと発信、実践が伴うこと、(2)現場の裁量権とフィードバックの仕組みを整えること、(3)顧客の声を定期的に見える化するシステム(アンケート、SNS分析など)を構築することが求められる。
最後に、生き残る会社とは、環境変化に柔軟に対応し(顧客が変化するから会社も変わる)、顧客の生の声をとり入れている会社であり、顧客とともに進化する会社(お客さまとの共創がこれからの競争力)だと言えるのではないだろうか。