嫌われない企業の原点とは⁉

 昨今、I市の市長学歴詐称問題に端を発した市政の混乱ぶりがメディアを賑わせている。市長としてのあり方や資質を問う声も少なくない。この一連の騒動をみていると、企業経営においても考えさせられることが大いにありそうだ。「嫌われない企業の原点」とはいかなるものかということである。

 簡単に言えば「人々に信頼され、長く支持されるために企業が根本として大切にすべき考え方や姿勢」のことだと思う。これを全うするためには、以下のようにいくつかの要素が不可欠である。

 まず、誠実さである。嘘をつかない、隠さない、ごまかさない、利益のために倫理を曲げない、不祥事があれば、正直に認め、責任を持って対応することである。嫌われる企業の多くは、この誠実さに欠けていると断言できる。

 次に、利他の精神である。自社の利益だけでなく、顧客、従業員、社会への貢献を考える、顧客の立場に立って行動する、従業員を詐取しない、取引先を使い捨てにしないことである。利他の心があれば、自然と嫌われない行動がとれる。

 また、透明性も必要である。情報を隠さず、開示できることは開示する、やましいことがなければ透明でいられる。不正や詐取が透明性のなさに起因することも多いのだ。

 さらに、一貫性と行動である。言っていることと、やっていることが一致している、理念を掲げるだけでなく、実際に体現していることである。時代や状況に応じて多少変わることも仕方がないが、核となる価値観はブレないはずである。

 最後に、対話姿勢である。批判や苦情に耳を傾ける姿勢がある、顧客、従業員、社会とのコミュニケ―ションを恐れない、批判を攻撃と捉えず、改善のヒントとして受け取ることが重要である。

 つまり、人間として信頼できる行動を、企業としても取ることが嫌われない企業の原点だと思う。

 さて、I市の騒動の顛末はいったいどのようになるのだろうか⁉

 市政や市民にとって最も良き方向へと進むことを期待したい。