大相撲秋場所で関脇若隆景が大関取りのチャンスを逃した。過去に一発のチャンスをものにした力士もいれば、何度も挑戦し土俵を去った力士も大勢いる。ビジネスの世界でも常に変化と競争の連続であり、同じ環境や同じ情報の中にいても、大きな成果をあげる経営者もいれば、チャンスを目前にして見逃してしまう経営者もいる。では、その違いはどこにあるのだろうか。
まず挙げられるのが、情報に対する感度の違いである。チャンスを掴む経営者は、業界の枠を超えて情報を収集し、変化の兆しをいち早く察知する。一方でチャンスを逃す経営者は、日々の業務に追われ、変化に対するアンテナが鈍っていることが多い。
次に、意思決定のスピードも大きな要素である。成功する経営者は、完璧な情報がそろっていなくても、一定の確信が得られた段階でまず動き、行動しながら修正し、機会をものにしていく。一方でチャンスを逃す経営者は、リスクを過剰に恐れ、慎重になりすぎる傾向があり、結果として判断が遅れ、競合に先を越されることになる。
さらに、顧客や市場の本質を見る力も重要だ。表面的なニーズや既存顧客の意見に頼るのではなく、潜在的ニーズや時代の価値観の変化を読み取る洞察力が問われるのだ。DVDレンタルに固執したツタヤが衰退する一方で、デジタル配信に舵を切ったNetflixの違いは顧客の未来を見ようとしたかどうかである。
また、組織文化のあり方も見逃せない。チャンスを掴む経営者は、社員の声に耳を傾け、多様な視点を経営判断に取り入れ、現場で起きている変化を敏感に感じ取り、それを機会に変える力がある。一方でチャンスを逃す経営者は、トップダウンが強く、現場の情報が経営に届かず、意思決定が時代遅れになるのである。
結局のところ、ビジネスチャンスを掴むは逃すかは、経営者の姿勢と習慣によって決まる。才能や知識の差よりも、日頃から変化を歓迎し、挑戦を恐れず、学び続ける姿勢が未来を切り開くのであり、変化を恐れる者にチャンスの女神は微笑まない。逆に言えば、変化を味方につけた経営者には、常に新たな可能性が開かれているのだと思う。
