逆境に咲く路傍の花のように強く・・・

 新型コロナウイルスに明け新型コロナウイルスで終わろうとしているこの1年。未だに深刻な経営状況に苦しんでいる企業は多い。経営者の皆さんはこれまでも一生懸命に頑張ってきたが、今ほど必死になって頑張っているときはないと思われる。

しかし、このコロナ禍の後には必ずや良い時期もやってくるはずである。また、苦しめば苦しむほど後で得るものは大きく、この難局を乗り切れば一層強い企業として生まれ変わると心の底から思いたい。

 ただし、顧客が減ったり、売上高が減ったりした原因をコロナのせいにしてばかりではいけないと思う。ひょっとしてそれはもともと顧客が自社の商品・サービスに不満を持っていたのかもしれない。言い方を変えれば、経営者自身の顧客に対する心の配り方の問題にあったのかもしれない。

 例えば、仮に「低品質・低サービス、高コスト」に陥っていた場合、会社としては「これだけのコストがかかるのだから、これだけもらわないといけない」とか「業界の慣習でこうなっている」とか理屈を重ねるのだろうが、そんなことは顧客には一切関係のないことである。経営者として、現状に真摯に向き合い、反省すべき点は素直に認めることが必要である。

 顧客というのは実に身勝手で理不尽で感情的で、ときとしてどうしようもない存在であるが、現実問題として、その要求に応じなければいけないことも少なくない。「ギブ・アンド・テイク」という言葉がよく使われるが、それでは今の時代の顧客は納得してくれないだろう。「ギブ・ギブ・アンド・テイク」と「そこまでやるか」というレベルぐらいやらないと自社のファンにはなってくれないのである。

 「高品質・高サービス、低コスト、短納期」という一見矛盾したことを実現しなければ企業の今後の発展はあり得ない。それが可能になるように逆境のなかにあっても、コンクリートの割れ目から懸命に咲く路傍の花のように、今一度社内体制の基盤強化を図ることが不可欠である。