次世代にバトンをどう渡していくのか・・・

 皆さんは断捨離というものをご存じだろうか。最近はテレビでも毎週放送されているから視聴されている方も少なくないと思う。断捨離はヨガの「断行・捨行・離行」から生まれた言葉で、モノへの執着を捨て不要なモノを減らすことにより、生活の向上、心の平穏、運気向上などを得ようとする考え方のことで、作家のやましたひでひこ氏により提唱され、今や登録商標にもなっている。

 筆者はこの断捨離にはまってしまった一人である。厳密に言えば、断捨離の真の意味を理解して始めたわけではない。父が亡くなった8年前に父の遺品などを整理し、次いで母が亡くなったときにも同じように整理したことがきっかけで、この間に軽トラック8台分、コンテナ2台分のモノを業者に依頼して処分してきた。

 両親の生きた証を処分するのは本当に辛く、悩んだのも事実だが片付けている際には、両親への感謝の思いを込めて行ってきた。整理してみてわかったことであるが、やはり未来志向というかとても前向きな気持ちになる。製造業の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)にも通じるのかなと思っている。

 今はまだ断捨離の途中でもある。祖父母の時代から我が家に存在する膨大な写真の処分が残っている。写真はそう簡単に捨て切れるものではない。悩んだ末に出した結論は、写真のデジタル化だ。これなら場所もとらないし、見ようと思えばいつでも見られる。こちらも専門業者に頼もうと考えている。

 ここまでやると最後の目標は、エンディングノート(終活)の作成である。「まだ早いのでは・・」と思われるかもしれないが、人間なんてこの先いつどうなるかわからない。妻や子どもたちが後々困らないようにしておくことも一家の長としての責務である。こちらは、日本の重要・喫緊の課題となっている事業承継に近いだろう。エンディングノートは、さしずめ事業承継計画書みたいなものだ。経営者なら後継者にどうバトンを渡していくのが最もよいのか考えているはずである。しかし、「まだ早い」と思っているうちに、いつの間にか時間だけが経過し、結局何も手をつけられずに屋台骨が崩れていく事業所の例も散見する。

 国も事業承継問題にはかなり注力しており、事業承継・引継ぎ支援センターなどの専門機関による相談会も頻繁に開催されている。事業を未来永劫続けたいと願うのなら、事業承継問題は避けて通れない。