営業に極意なんて本当にあるのか?

 営業の世界は、数字の世界である。営業マンは常に数字で評価される。どんなに頑張っても、どんなに運に恵まれないと嘆いても、目標の数字がクリアできなければ評価は極めて低い。そういう世界だからこそ遣り甲斐もあるし、目標の数字がクリアできれば充実感や達成感も生まれる。ここが辛いところなのであるが、営業とは数字を上げた者が勝ちなのだ。では、どうやって数字を上げるのか。いろいろなやり方があるのだろうが、筆者は「紹介セールス」が最も効果的であると考えている。飛び込みセールスでもルートセールスでも、お客さまにお客さまを紹介してもらうほど心強いことはない。よく「紹介が出るようになったら一人前」といわれるが、筆者の知る腕のいい営業マンは例外なく「紹介セールス」を実践している。

【営業セールスのメリット】

①門前払いされない(これだけでも営業マンにとっては大きなメリット)
②契約率が高い(特に義理・人情に厚い人の場合は抜群の効果を発揮)
③お客さまにマッチしたプレゼンテーションができる(事前に相手の情報が収集できるため)
④計画的で余裕のある営業活動ができる(営業マンが精神的に追い込まれることが少なくなる)

 

 取引に満足した1人のお客さまは、何人もの新規顧客を呼び込むものである。紹介者が紹介者を呼び込むという好循環が生まれる。これが「紹介セールス」の本質である。

 

【紹介セールスを行う上でのポイント】

①既存顧客を見直す(紹介を引き出せるような強固な信頼関係を再構築する)
②自社ファンを増やす(お客さまのために全力で頑張っている姿勢、琴線にふれる行動)
③断りきれない人間関係をつくる(一見非合理的な義理人情が人間関係で大きな意味を持つ)
④信頼を裏切らない(ビジネスはギブ&テイクが本質、もらうばかりでは、人は離れていく)
⑤安易な引き受けはしない(安請け合いは返って信用・信頼関係を損ねることになる)

 

 営業に正解はないのかもしれないが、極意のようなものがあるとすれば、「あの会社なら、あの営業マンなら誰に紹介しても大丈夫」といった相互信頼関係による人間同士の結びつきにその答えがあるように思う。