優秀な人が会社に貢献するのか!?

 皆さんの会社では優秀な人間が会社に貢献していると考えているのだろうか?多くの方が「その通り」だと回答するに違いない。しかし、経営者がその扱いに困っているのは、案外優秀な人の方である。優秀でやる気があり一生懸命働いてくれる人がいたとして、その人が短期間で会社を辞め他の会社へ移ってしまったらどうなるのか。おそらく職場はその人に頼り切った状態になっているので、その穴を埋めるのは至難の業である。

 「ジンザイ」という言葉は、いろいろな漢字があてはめられる。人財、人材、人在、人罪などである。目まぐるしく経営環境が変化するなか、今日まで人財だった人が明日には人罪になることもあり得る。優秀な人はなるほどありがたい存在であるが、同時に困った存在でもある。経営者は常に人財がいつ辞めてしまうか気が気ではない。

 一方、仕事ができない人は、できる人よりもさらに困った存在である。今の世の中、仕事ができないからといってクビにするのは甚だ難しい。だからといって顧客から「おたくの会社の〇〇さんは・・・」などのクレームをいただくと、経営者としては腹が立って仕方がないだろう。そして、仕事ができない人には、ますます仕事を与えなくなってしまうから、その人はいつまでたっても半人前のままである。

 結局のところ、中小企業は人材に余力のある大手企業とは異なり「できない人」を「できる人」に変えていくほかない。

 人間の職務能力は経験回数によって向上するといわれている。その人自身の頭の良さよりも、むしろ経験回数によって左右されるのである。つまり、ある程度のリスクは覚悟のうえで思い切って仕事をできない人に回してみることが重要である。

 仕事ができる人は、できない人に仕事を教えればよい。極論すれば仕事ができる人は、教育・研修に専念するくらいでもよいかもしれない。会社全体の底上げこそが会社にとって大きな命題である。

 今皆さんの会社で大切な仕事が入り、社員は2人で、1人はできる人、もう1人はできない人であると仮定した場合、さて、皆さんの会社では、その仕事をどちらの人に回すのだろうか。