成功よりも大事な失敗から学べ

 最近、友人の経営コンサルタントがこんなことを言っていた。「経営セミナーで成功事例ばかりを話しても聴講者の反応がイマイチ。逆に失敗事例はマジで受けがいい」と。おそらく聴講者の気持ちを察するに、「どうせうちの会社に成功事例をはてはめても無理だよ」とか「成功する会社は最初からいいとこ持ってるに決まってるんだよ」みたいな感じであろうか。
 多くの成功を謳うビジネス書や経営について書かれた書物をみても、出版業界は成功した話でないと売れないので、売上拡大を狙う以上それは仕方のないことかもしれない。
 しかし、穿(うが)った見方をすれば実際には成功が偶然にひき起ったことかもしれないし、著者の思い込みに左右されて内容に多少の着色があるのかもしれないのだ。
では、成功と失敗、実際にはどちらの方がより豊富な知識と経験が身につくのか?実は既に判明しているという。つまり、失敗は学びの過程としてより重要で、かつ我々の脳みそに鮮明に刻まれるのは、失敗の記憶と事例であり、人は、成功からよりも失敗から多くの知恵を得ることができるというわけである。
 一方、これはあくまで筆者の推論であるが、多くの会社において潜在する「失敗はすべて悪い」という根深い考え方や、「危険を冒してまで挑戦しない」という安全志向が、会社が失敗から学ぶことを妨げている要因だと思っている。
 大切なことは、何かに失敗したとしてもそれで何もかも終わってしまったのだとは考えずに、次の行動や成長のための必要な知識の蓄積だと考えるほうがよいのである。「失敗を失敗のままで終わらせない」ことが必要不可欠だ。
 失敗から学ぶためには、会社に応じて異なる戦略が必要になるが、目指すべきところは、失敗を早めに発見し、徹底的に分析し(問題提起)、改善策(課題解決)を構築することが不可欠である。
 いずれにせよ、会社が最終的に成功するためには、従業員が安心して失敗を認め、報告できる職場環境を整えることが必要である。そこには社長はじめ経営幹部の理解・協力と強力なリーダーシップが求められよう。


 「失敗は成功への道標」
 読者の皆様、失敗を恐れない、むしろそれをエネルギーへと変えていくような逞しい会社・組織を目指そうではありませんか!