身近なCS

 市場の成熟化が進み、いずれの業界においても企業間競争が一段と激しさを増している。

 

 その結果、本当に顧客が満足する魅力的な商品・サービスを提供しないと顧客に購入してもらうことができない大変厳しい時代となった。このような状況のなか、企業において「CS(Customer Satisfaction = 顧客満足)」の概念が定着している。

 

 CSという概念が定着していると述べたが、顧客満足という言葉は昔から身近なところにあり、とりたてて新しいコンセプトではない。「顧客第一主義」とか「お客さま優先主義」などの言葉と同じように経営の原点であり、企業にとって追及しなければならない永遠のテーマでもあるのだ。たとえば、日本最古のビジネス書ともいわれている井原西鶴が書いた「日本永代蔵」のなかでは、他人の喜びや利益を第一に考えることが信用につながり、まわりまわって自らの利益になることを説いている。古くから続く商家では、顧客満足を家訓や社訓に掲げているところもある。

 

 このようにCSは企業が永遠に追及しなければならないテーマであり、未来永劫真剣に取り組むことが大切である。これがCS推進のもっとも重要なポイントである。

 

また、CSの追及は、下図のように企業側にとって、顧客を獲得し、顧客をつなぎとめ、固定客化して売り上げの増大につなげるだけでなく、もう一つの効果として、プラスの口コミ効果によって新たな顧客の創造につながる実利的メリットがある。

【CS追求による効果】 

 企業経営に際し、CSを効果的に推進するために、経費をかけなくても比較的効果が高いとされる身近なCS工場の方法を以下に挙げるので参考にしてほしい。

 

1. わかりやすい言葉での対応

顧客にとって業界の専門用語や横文字を連発されることは、一段高いところからものをいわれているような気分になり面白くない。顧客の立場に立ってわかりやすい言葉で優しく丁寧に語りかけることが大切。

 

2. 「残心」によるCSの向上

顧客が店や事務所を出るとき、「ありがとうございました」と感謝の気持ちを込めてお見送りすること。顧客の背中にいかに対応する人の温かい心を残すかがポイント。

 

3. 笑顔の提供

明るい笑顔の対応を常に心がけること。中国には「笑顔なきものは、店を経営する資格なし」という諺があり、笑顔はその場の緊張を和らげ顧客を楽しい気分にさせる効果がある。