「波乗り挨拶」は低コストで効果的なソリューション

 御社では社員の挨拶がしっかりできているだろうか?幼稚園児や小学生ではなく、れっきとした社会人に対して「元気な挨拶をしましょう!」などというのも今さら妙な話であるが、それだけ我々の職場は健全な状態から逸脱してしまっているのかもしれない。私の周辺にも「最近の若手はネットばかりやってろくに挨拶もできない」と嘆く上司は少なくないが、若手社員のことを言う前に、ベテラン社員のほうこそ、挨拶ができなくなってはいないだろうか。
 たかが挨拶くらいと侮ってはいけない。無視、無関心がはびこる職場はそれこそ末期症状である。昨今報道されている幼児虐待を引き合いに出すのも気が引けるが、暴力以上に子供の心を修復不可能なまでに蝕んでいるのが無視することだと言われている。
 翻って、活性化している職場、沈滞化している職場の判定基準の一つとして挨拶をチェックするのは古くからある伝統的手法であるが、「行ってきます」「お帰りなさい」という声が飛び交っている職場は、その声自体が職場を活性化していることが多い。活性化している職場だからそういった声が聞こえるのではなく、正に声の力が職場を活性化させるのだと思う。
 しかし、ただ挨拶をきちんとするように指示しても、なかなか根づかないのが現状だ。そこで、活用できるのが「波乗り挨拶」である。居酒屋や外食チェーン店などでよく行われているが、ひとりが「いらっしゃいませ」と挨拶したら、周囲の人も続けてそれ以上の声で挨拶をしなくてはいけないというのが波乗り挨拶の基本ルールである。
 「うちは飲食業ではなく、一般企業なのだから・・」と職場内での挨拶を侮っているベテラン社員が存在するとしたら、その人物こそ職場に暗い雰囲気を撒き散らしている張本人なのかもしれない。
 考えてみれば、少年野球や少年サッカー、中学、高校の部活動においても「大きな声を出していこうぜ」とやっていたし、プレー中も声を掛け合い励まし合っていたのだ。
 ややこしくて容易に理解できないソリューション(課題解決策)に多額の資金を投ずるよりも、騙されたと思ってまずは波乗り挨拶の義務づけから始めてみてはいかがだろうか。それになんといってもコスト=ゼロは大きな魅力である。