「企業の寿命30年説」の真の意味とは何か!?

 企業寿命30年説とは何かと問われると、一般的には「企業にも寿命があり、人間と同じように時間的制約によって必然的にその生命を終え、その期間は概ね30年程度である」と回答する方も多いのではないだろうか。しかし、この理解は誤りであり、本当のところは、「企業が繁栄のピークを謳歌できる期間は、わずか30年に過ぎない」のであり、企業がその終焉を迎えるまでの期間(寿命)が30年ということではない。
 学術的な根拠はさておき、企業が未来永劫発展していくためには何が必要なのかを考えてみたい。

筆者が知る破綻した企業には、以下のような特徴など多くの共通項がみられる。

 

(1)従来の経営をそのまま踏襲してきた企業
  「昔は良かった、今は景気が悪い」が口ぐせの社長
(2)売上至上主義が「命」の企業
  「売上さえ増えれば利益はついてくる」という安易な考え方
(3)強みや競争力のない企業
  ○○社=○○といった代名詞やセールスポイントがない
(4)経営方針・計画(理念・目標)のない企業
  常に行き当たりばったりの出たとこ勝負
(5)計数感覚に弱い経営幹部のいる企業
  「細かい数字は顧問税理士に聞いてくれ」と逃げる社長
(6)正常先と思われていた企業
  仕入先や販売先の破綻により連鎖倒産の憂き目にあう
(7)老舗企業
  暖簾やブランドにしがみつき、革新することを忘れた企業

 

 では、上述とは反対に幾多の時代の荒波を越え、長期間にわたり事業を継続してきた企業は、どのようなことを行ってきたのだろうか。導き出された結論は、ダーウィンの進化論ではないが、時代の変化、経済・社会の変化、産業構造の変化に応じて企業も変身していかなければ生き残れないということだ。
 そして、企業が変身するためには、企業に帰属し組織を構成するヒト(経営者も含めて)が変わらなければならない。経営危機に直面した際に、商品仕入の見直し、販売先の見直し、製造方法の見直し、販売促進の見直し、事業(計画)そのものの見直しが不可欠である。
 加えて、これらのことを経営者のみならず従業員も認識を共有し、全社一丸となって事に臨むことが重要であり、教育・研修の形でそれらの徹底を図ることができれば、企業繁栄のピークを謳歌できる期間は自ずと長くなるのである。