草刈りの不思議なリフレッシュ効果

 我が家には猫の額ほどの小さな庭がある。今年は長雨で草刈りが早い時期にできなかった。そのため草は伸び放題で荒れ果てた状態になっていた。このまま放置するとさらに悲惨な状態に陥ってしまうという恐怖感から意を決し、休日の早朝から妻と1時間ほど草刈りに没頭した。まったくの単純作業なので楽しいと思ったことは一度もない。いつも体中蚊にさされ、汗びっしょりとなり熱中症にも気を配っていた。

 しかし、刈り終えて一面きれいになったときの爽快感、達成感はたまらないものがある。1ヶ月も経たないうちにまた草ぼうぼうとなってしまうのだが、その達成感を味わいたい気持ちが心の片隅にあり、また草刈りへと駆り立てられる。

 妻とただひたすら黙々と草を刈る。究極の原始的作業だが、無心になったときの集中力と達成感は他では得難いものがあり、そのリフレッシュ効果は大きい。これは「非日常」、「単純作業」、「肉体労働」、「作業結果が明確」の4つの要素が要因だと推測している。

 おそらく日常の仕事の延長ではこのように無心になれなかっただろうし、ゴールという終わりが見えており、しかもその成果がはっきりと認識できるからこそ達成感につながるのだと思われる。

 これだけだと個人の単なるリフレッシュ方法にすぎないのであるが、これを職場の活性化に活かしたらどうだろうか。掃除という共同作業を通じた職場の一体感が業績の向上につながる。既にその効用を十分理解している企業は、実は何十年も清掃活動を継続している。

 とはいえ、いきなり毎日の掃除をみんなでやるのも大変なことなので、まずはできそうなことから始めるのが得策である。たとえば、上半期に2~3回程度の草刈りはどうだろう。草を刈る場所がなければ公衆トイレや通りの清掃だってかまわない。また職場の大掃除やお店のレイアウト変更、あるいは避難訓練でもよいと思う。

 こんな不安要素を抱え先の見通せない時代だからこそ、しっかりと3密対策をとったうえで、非日常的な原始的作業・肉体労働に職場をあげて取り組むことを提案したい。