ネットは必ずしも魔法のツールではない!

 皆さんはビジネスでのネット活用にどんなイメージを持っているだろうか。時々、ネットを‘魔法のツール’のように考えて、ネットを使えばすぐに商売が上手くいくかのように錯覚する方もいるのだが、まったくの誤解であると思う。たとえネットを活用していても、ビジネスではリアルな営業や接客の充実が最も大切なのである。このことは、筆者の知るネット活用に精通した経営者が一様に語っている。
 確かにネットを使えば多くの人に対して自社・商品をPRすることができる。また、リアルな人間と違って、ネット上のホームページやブログは体調を崩したり、モチベーションを上げたり下げたりすることもない。そういう意味では、ネットはビジネスにとって非常に便利なツールであることに間違いはない。
 こうしたネットの一側面をとらえて、「ネットを使えば楽して売上を伸ばせる」などと安易に推進する業者も散見される。しかし、ビジネスでネットを活用するためには、それ相応の努力や工夫が不可欠であることを念頭に置くべきである。実際に上手くいっているネット活用の舞台裏には、実はリアルで泥臭い下支え活動があるのだ。

 例えば、筆者が実際に見聞きしたネットを使って商売が上手くいっている事例としては、以下のようなもの挙げられる。

製造業 ホームページを改善して受注を伸ばしているが、製品開発の社内勉強会を積極的に行うことや、毎年インターンの受入も行っており、社会的な信用醸成につながっている。
鮨店 「鮨講座」などのリアルイベントを重視しており、それ自体がとても好評であるが、その様子をブログやFaceBookで周知することで、更なる集客に成功している。リアルイベントが充実しているため、店のファンが増え、家族連れで食事に来店するなど来店客数の増加につながっている。
美容院  ブログやFaceBookで自店の魅力(技術力・雰囲気・スタッフ紹介など)をPRしているが、同時に近隣へのポスティングや地域貢献活動にも積極的に取り組んでおり、そのことが複合的に結実して大きな集客増につながっている。

 このようにビジネスにおけるネット活用とは、ネットの世界だけで完結するものでも、ホームページやブログを作るだけで上手くいくものではなく、リアルで地道なアナログ活動とネットを継続して適材適所で組み合わせることにより真価を発揮するのである。