会社は経営者の器以上に大きくならない!?

 「会社は経営者の器以上に大きくならない」は、昔からよく耳にしてきた格言?である。先日、ある団体の長が筆者にこんな話をしてくれた。「とても立派な企業経営をしてきた社長だが、長期にわたって実権を握ってしまうと、目先の権力維持に固執し過ぎて先のことが全く見えなくなるらしい。結局、その経営者は引き際を間違え晩節を汚すことになってしまった。とても残念でならないと・・・」まあざっとこのような内容であったかと思う。この話を聞いて昨今の政財界などのことばかりではなく、実は身の回りのどこにでも起こっている事象だと思った次第である。
 そこで今回は、大変おこがましいことは承知のうえで、今までの拙い経験を踏まえ、筆者が考える「あるべき経営者の器=資質」について述べてみたいと思う。


1.自分より能力の高い人とともに働くことができること

とかく経営者というものは、イエスマンばかりを集めたがる。経営者の考えがいつも正解ならそれでよいが、間違っているとなれば悲惨な状況に陥ることになる。経営者は自ら持ち得ない高い能力を持った人を活かし、その力を思う存分に発揮してもらうことが不可欠である。

2.クリエイティブであること

経営者に求められるのは、既存事業の積み重ねだけではなく、新商品・サービス、新技術、新人財などゼロから生み出す創造力である。

3.魅力があること(内面・外面)

人は魅力のある人にどうしても引きつけられてしまう。カリスマ性とかオーラとでもいうのか、持って生まれたものかもしれない。もちろんそういった外見とは別に、豊かな人間性、見識や自らの価値観がその人の器の大きさを表している。

4.グランドデザインを示すこと

「企業として未来に向けて何をするべきか」の想いの強さ・大きさは、経営者のスケールを反映する。それらの方向性を社員が理解できるように力強く明確に一貫性を持って持続的に明示できることが重要である。

5.自分の残された時間(任期・健康寿命など)を常に意識することができること

年齢を重ねれば重ねていくほど、当然残された就任期間は短くなり、「自分が経営している間はなんとかなればいい」という短期的・消極的心理が働く。これを若くて先の長い有能な後継者に事業を引き継げば中長期的な視野に立って経営を原点に戻って見直すことができる。