武器(スキル・資格)がないと丸腰では戦えない

 最近、我が家で起きた出来事である。ネット環境を変更・整備するための工事を業者に依頼したところ、当日になって業者から「工事ができません」と唐突に言われた。その理由(説明)を求めると、「作業の安全を確保するうえで必要な資格を警備員が保有していないから」との答えが返ってきた。
 つまり、筆者の自宅は国道沿いに立地しており、そこで工事を行うためには、資格を持つ警備員しか業務を遂行することができないということであった。「開いた口が塞がらない」「寝耳に水」とは正にこのことだ。というのも2ヶ月以上も前に工事の予約を取り付けてあったからだ。首を長くしてこの日を待っていたにもかかわらず、当日現場を見ていきなり「工事できません」はないだろう。その業者は、憤懣やるかたない様子で警備員とともに現場を撤収していった。業者、警備員、発注者がムダな時間を費やし、何一つ生産性を生むことはなかった。実に後味の悪い気持ちを引きずったまま、仕方がないのでその日の工事を諦め、改めて工事の予約をとった次第である。
 ここで問題点を整理してみると、 
  (1)工事を予約した時点で業者が我が家の作業立地条件の確認を怠ったこと
  (2)警備員が資格を保有していなかったこと
  (3)当日の是正処置(資格を保有する警備員を速やかに手配するなどの神対応)ができなかったこと
の3つに集約される。結果的に、最初から警備員が資格さえ保有していれば、何の問題も起きなかったわけである。改めて従業員への教育(スキルアップ)や、その証拠となる資格(=お墨付き)取得の重要性を肌で感じたのである。
一方、資格取得に際して「資格を取っただけでは何にもならない」というような懐疑的な意見があることも承知している。確かにそのとおりである。資格は仕事に活かされて初めてその価値を高めるものだと思う。資格は取得することが真の目的ではない。資格取得はあくまで仕事上の目的を達成するための一手段に過ぎない。それらを十分踏まえたうえで、資格取得を奨励すれば、従業員の自信を高めモチベーションが上がるとともに、仕事の質的な向上や顧客満足度の向上につながり、会社へも大きく貢献できるはずだ。「たかが資格、されど資格」である。今一度御社の制度(資格奨励等)の見直しを図ってみてはどうだろうか。