ブログ - 2021年7月


上場企業の7割➡コロナ前回復

企業業績が新型コロナウイルス禍を乗り越えつつあります。30日までに21年4~6月期決算を発表した約500社のうち、7割の企業の最終損益がコロナ前の19年4~6月期を上回りました。ワクチンの普及もあり世界経済が再開、電子部品や自動車の需要が回復しています。世界的に感染拡大の傾向もみられるなか、回復の持続力(一過性でななく)がポイントです。一方、インド型の感染拡大が半導体などの供給網の阻害要因となる懸念材料もあり、原材料の高騰につながれば採算悪化となります。

エッジAIの進展

人工知能(AI)の活用がクラウドから利用者に近い端末(エッジ)に広がりをみせています。ロッテが来店客の購買行動を分析して売上の増加につなげるなど、小売りの現場に変革をもたらしつつあります。電子商取引(EC)の遅れをとっていたリアル店舗のデータ活用を後押ししそうです。従来、小売店ではレジのPOS(販売時点情報管理)情報などで商品の売れ行きはわかりますが、来店客が商品を選ぶプロセスを追跡するのは難しく、消費者の興味関心について、データ収集・分析しやすいECと比較したリアル店舗の大きな弱点でした。課題は専用機器の導入費用とITの専門知識が必要不可欠なことです。

高齢者感染低下へ

新型コロナウイルスのワクチン接種を終えると実際に感染しにくいことを示すデータが集まっています。厚生労働省の国内調査では、高齢者の感染は未接種の場合と比較して10分の1以下になったことがわかっています。確実にワクチン接種の効果はデータに反映されており、接種の着実な推進が必要不可欠です。今はGotoVaccineです。

キッチンカーのご当地規制

コロナ下においても初期投資を抑制しつつ創意工夫で稼げる飲食ビジネスとして、移動販売車(キッチンカー)の開業が増えています。その数は1都3県だけで1万3000台超です。しかし、地域によっては車内設備やメニューをめぐって不合理なご当地規制があります。衛生ルールは地方自治体や保健所ごとに対応が異なっています。仕事上、私のところへもキッチンカーで起業したいとの相談件数も増えています。一方、キッチンカーは開業1年以内に半数以上が休業するほど競争が激化しているのも現実です。ご当地規制は問題ですが、キッチンカーで起業を考える場合は、まず、保健所への規制内容の確認(メニュー・調理方法を踏まえ)をお願いいたします。

越境リモート労働が3割増

新型コロナウイルス禍で国境をまたぐ往来が制限されるなか、企業などがオンラインで国境を越えて仕事を発注する動きが加速しています。働き手が渡航中止や帰国を余儀なくされても事業を継続できるようにするためです。残念ながら日本は世界の動きから取り残されており、デジタル人材の活用や育成を急がないと国際競争力の低下につながります。国際労働機関(ILO)によると、仕事の多くは遠隔で対応が可能しており、IT技術者や金融専門職など約6分の1が該当し、世界の労働人口から試算すると約6億人が潜在的なリモート労働者になると計算しています。DXに待ったなしです。

東京五輪が開幕

第32回夏季オリンピック東京大会が23日夜開幕しました。国立競技場での開会式は新型コロナウイルスの影響で近代五輪史上初めて無観客で行われました。開催都市の東京は緊急事態宣言下にあります。異例の祭典は感染拡大を防ぎながらの安全な開催が最大の課題で、17日間の大会中、対策の不断の見直しが求められます。

EV専業へ(メルセデス・ベンツ)

独自動車大手ダイムラーの高級車事業会社メルセデス・ベンツは22日、販売する新車を2030年にも全て電気自動車(EV)にすると発表しました。8つの電池セル工場を新設するなど、30年までに400億ユーロ(約5兆2千億円)をEVに投資する計画です。欧州連合(EU)の欧州委員会は14日、35年にエンジン搭載車の販売を事実上禁止する規制案を発表したばかりです。いよいよ世界の自動車メーカーはEV専業時代へと加速していきます。私も含めてガソリン車の乗っている人は肩身が狭くなりそうです。

ENEOSが新燃料開発へ

脱炭素への動きが加速するなか、ENEOSホールディングスが二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにする合成燃料の開発を急いでいます。仮想空間で最適な素材を組み合わせ、高速シミュレーションを繰り返す独自のデジタル技術を活用します。高効率の製造手法を確立して2030年代に商用化し、石油依存の事業構造を変革するとしています。ただ、最大のネックは、コストの問題です。例えば、水素を使用し国内で合成燃料を生産すると、現状では1㍑約700円になると試算しています。従来の燃料との価格差を解消するには技術開発に加えて、国や航空・自動車など幅広い業界を巻き込んだ推進体制の仕組みが不可欠です。実現はまだ遠い先です。

雇用調整助成金(特例措置)延長

政府は新型コロナウイルスに伴う雇用調整助成金の特例措置を12月末まで延長します。10月からの最低賃金の引き上げに配慮した企業の負担軽減策にあたります。10月から従業員の休業規模に沿った支給要件を緩和し中小企業が受給しやすいようにします。時給を一定以上引き上げると、休業延べ日数が所定労働時間の2.5%以上との給付条件がありますが、この要件がなくなり、10月から3ヶ月間助成金を支給します。助成率は12月末まで10分の9以上を維持します。

「サーチファンド」

後継者のいない中小企業の経営を新たな外部の経営者が引き継ぎ、株式はファンドが買い取る「サーチファンド」と呼ばれる第三者による新たな事業承継の手法が広がる動きをみせています。2020年以降、10億~50億円規模のファンドの設立が相次いでいます。今後、後継者のあり方や事業承継の進め方にどのような変化が起こるのか興味深いです。

所有者不明土地政策

政府は所有者がわからない土地の活用促進策の検討に入りました。公共目的で利用できる範囲を拡大し、新たに小規模な再生可能エネルギー発電所や防災施設も対象に含めます。使用期限も現行の10年から20年間に延長する方向です。少子高齢化で相続されずに放置される土地の増加が続きますが、これが公共事業や地域の再開発の障害となっており、このまま放置すれば経済活動の阻害要因になるとみて、その利活用を急いでいます。

千秋楽で全勝対決

優勝を争う横綱白鵬と大関照ノ富士がともに勝ち進み、千秋楽で全勝対決に臨むことになりました。勝利になりふり構わない先輩横綱の意地が勝つのか、大怪我・病気で序二段まで降下し、地獄の底から這い上がってきた執念がそれを勝るのか、大相撲史に残る一番となりそうです。

人口減➡人口増へ87市区町村

2020年国勢調査で人口が増えた市区町村は324にとどまりました。高齢化の進展に加え、若年層の都市部への流出や出生率低迷で多くの地区が人口減少に苦しんでいます。そうしたなか、外国人や子育て世代に照準を絞った施策などを展開し、新たな住民の呼び込みに成功した地域もあります。劣勢に歯止めをかけ5年前の減少から増加に転じた市区町村は87ありました。総花的な施策ではなく、課題解決に向けピンポイント対応が不可欠です。

小売業の業績が回復基調へ

小売業の業績が回復してきています。主要64社が15日までに発表した2021年3~5月期の純利益は新型コロナウイルス禍前の19年3~5月期を5%上回っています。商品構成や店舗を見直し、「巣ごもり消費」を取り込んだ結果です。一方で、酒類提供や営業時間の制限が長引く外食産業は苦境が続き、消費系企業の間で業績が二極化しています。やはり飲食が元気になり消費を牽引していかないと本当の意味での業績回復には至りません。

「売らないテナント」化へ

丸井グループは2026年3月期までに売り場面積の約3割を「売らないテナント」に転換します。通販など話題のネット企業を誘致し、商品やサービスを体験してもらう場にします。コロナ禍で消費のネットへのシフトが加速しています。大型商業施設がライバルのネット勢と共存する先駆けとなりそうです。この背景には、リアル店舗で商品を確認し安いネット通販で買う「ショールーミング」も商業施設にとって打撃で、ネット通販側もサイトの乱立で認知度をどう高めるかが課題となっていたことにあります。「昨日の敵は今日の友」です。

「業種別審査財務分析研修会」

大阪府信用組合協会主催「業種別審査財務分析研修会(7月14日~15日)」の講義をするために明日から大阪に出張します。今年2回目の大阪での講義になります。最近は少々お疲れモードに入っていますので、「大阪パワー」をもらって帰ってまいります。

中国企業が世界の土地を囲い込み

中国企業がアジアやアフリカの土地を囲い込んでいます。国外で過去10年に取得・貸借した面積を集計すると米国をはじめ他の主要国を圧倒しています。食料や資源の供給源でもある新興国や途上国が経済的に支配されることへの懸念や安全保障上の警戒論も強まっています。日本は6月、安全保障で重要な土地の取引を規制する新法ができましたが、それ以外の土地についても外資による不透明な進出を防止することが喫緊の課題と思います。

「リポビタンD」非常食へ参入

大正製薬は豪雨や地震など災害時に備えた非常食事業に参入します。主力のドリンク剤「リポビタンD」のブランド力を生かして、5年間常温保存できるゼリー状の飲料を開発し、7月下旬にも発売します。防災用品を備蓄する自治体や企業からの需要を見込んでいます。新規事業を企画するなかで、災害時用の備蓄食品に需要があると経営判断し参入を決めたようです。これは既存商品を改良し、新規市場へ参入する形であり、最も効率的な新商品開発戦略の一つです。

グーグルが日本で金融事業へ参入

米グーグルが日本で金融事業に本格参入することがわかりました。国内のスマートフォン決済会社を200億円で買収し、インドや米国に続き日本でも2022年をめどに自社グループで送金・決済サービスを開始するようです。日本は先進国のなかでも、キャッシュレス決済の普及が遅れており、開拓の余地が大きいと経営判断したようです。グーグルの参入で日本でもデジタル金融を巡り既存の金融機関やネット企業との競争が熾烈になります。

「平成の怪物」が引退

「平成の怪物」と呼ばれ、日米通算170勝を挙げた松坂大輔投手が今季限りで引退することがわかりました。2019年を最後に公式戦での登板はなく、昨年7月に頸椎の手術を受けて今季の復活を目指していましたが、首の痛みと右手のしびれが取れず決断したようです。高校時代の甲子園春夏連覇、プロ野球西武での鮮烈なデビュー、メジャーでのワールドシリーズ優勝と華々しく活躍してきましたが、度重なる怪我には怪物も勝てなかったようです。お疲れさまでした。今後の動向に注目です。

コーポレートガバナンスコード導入から6年

日本企業の活力を取り戻すためにコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が導入されて6年が経ちました。株主総会は経営者と株主が互いの主張をぶつけ合う真剣勝負の場に変化しています。株主からの提案は倍増し、一方、会社側の提案に対しては、2割超の反対も相次いでいます。形式にとらわれずに両者が真正面から対話し、企業価値を高める傾向が強くなっています。「もの言う株主」はさらに増え続けると思います。

産業天気図予測(2021年7~9月期)

日本経済新聞社が主要30業種を対象にまとめた2021年7~9月期の産業天気図予測では、ワクチン接種の進展やオリパラ開催、緊急事態宣言解除により、外食やドラッグストアなど7業種が改善となっています。ただ、コロナ前の水準に需要は戻らず「小雨」と「雨」は計13業種と半数近くを占めます。外食とリース、パルプなどは「雨」から「小雨」、自動車は4~6月期に続いて「曇り」、新車販売が引き続き好調だが、半導体不足が解消されず生産への影響が残ります。

大相撲名古屋場所

大相撲の名古屋場所は今日初日を迎えます。進退にかかる横綱白鵬や綱取りに挑む大関照ノ富士に注目が集まるなか、私の一押しは新小結の若隆景です。相撲界大型化時代にあって127キロの引き締まった体から繰り出す「技」が大きな魅力です。実績面でも2場所連続で技能賞を獲得しています。大横綱の千代の富士を想起させると言ったら少し大袈裟でしょうか。そのくらい期待しています。

路線価13年連続でマイナス(静岡県)

国税庁が1日発表した2021年1月1日時点の路線価で、静岡県内の標準宅地は平均で前年比1.6%下落しました。下げ幅は全国で最大でした。静岡県は沿岸部の近くに市街地が集中し、東日本大震災後から路線価の下落傾向が続いてきました(13年連続)新型コロナウイルスの感染拡大による県内企業の先行き不安が地価を一段と押し下げた形です。景気回復基調の今後に期待です。

 

IT人材の確保に課題あり

金融庁は30日、金融機関のIT対応に関するリポートを公表しました。各行への調査をもとに、地方銀行や信用金庫に関し「ITシステムを担うスキルを持った人材の確保・育成に課題を抱えている」と指摘しています。IT人材に関する項目では、研修や資格取得などを問う8問について「実施している」と答えた割合の平均が地銀では53%、信金では17%でした。今後ますますIT人材の確保に向けた争奪戦が繰り広げられます。またビジネスの種もそこに豊富にあるようです。